私は定期的に、離島に足を運ぶ。
離島であるから本土と橋などでつながっていないため、市が運営している定期船で行き来をしている。離島民にとって、船はとても重要だ。そして、その船の発着時刻が生活の中に浸透している。
1日7往復程度の船があり、本土まで約40分かかるが、程よい距離だと思っている。ただ、2時間に1本の定期船であるため、1便逃したら2時間も時間を持て余すことになる。時間厳守ができない人にとってはつらい環境なのかもしれないが、島民はそれが当たり前であるから特に問題にならない。また、波が高ければ、船は欠航する。欠航が決まれば、それが覆ることはなく、あきらめるしかない。安全第一なのだから、仕方がない。
離島では、ゆっくりと時間が流れる。
島には車が走れる道路もあるが、交通量は非常に少ない。1時間で数台が走る程度である。
島民は、島の南側に固まって住んでいる。定期船の発着場が島の南側にあり、そこから近い場所に住居が立ち並んでいるように思える。一方、島の北側に住む者はいない。北側は風当りが強いし、定期船の発着場から遠いこともその理由だと思われる。
島の南側に島民の居住が偏っているため、その南側には島内放送のスピーカーが設置されている。一度のアナウンスで、島民全員に行き届くように設置されており、連絡を音声で伝えることができるため、とても便利な存在だ。この島内放送を使用する際は、聞き漏らしを考慮して、必ず2回、同じ内容を繰り返しアナウンスする。とても重要な内容であれば、これを3回連続して行う。
先ほど、船の欠航の話をしたが、案の定、島民全員に伝えるために、この島内放送で欠航のお知らせがなされている。
「客船事務所からの連絡です。〇〇発、〇〇時〇〇分の便は、欠航となっております。」このような連絡が、島中に鳴り響く。
島民にとって、この島内放送は、昔からあるものであり、必要なものであるから、これを「騒音」と感じる人はいない。必要としている情報を受け取る手段なのであるから、朝の5時台に船の運航再開の連絡がスピーカーから鳴り響いても、誰も文句は言わない。
だが、これが街中の放送であったならば、どうであろうか。
島民は、船という生活の一部のものの情報を欲しているが、街中では、このような全員共通的な情報を必要として生活していることは稀だ。自治会や町内会が、住民に対して連絡する手段として、このような放送設備を持っていることもあるだろうが、都会の街中ではほとんど耳にしない。また、放送は便利だからと思い、新たに放送設備を設置したいと思う場合もあるが、住民の同意をとる必要などがあり、「騒音」になるからやめてくれという意見も多数出てくるであろうことは、容易に想像できる。
過去に、その地域で災害を経験し、「防災スピーカー」が必要だという議論になれば、それは必要なものであるわけだから、反対意見も少ないだろうが、そのような特別な環境下でしか街中でのスピーカー放送は実現できない。
そこで、「騒音」問題もなく、地域の一定範囲の住民に対し、必要な時にリアルタイムで情報を伝える手段を持てないだろうかと考える。街中の自治会や町内会では、リアルタイムで情報を伝えたい時が多々あるのだが、街中であるがゆえに島内放送のようなスピーカーを設置するわけにもいかず、その手段として、今まではホームページを作成し、そこに新しい連絡事項として掲載することしかできなかった。ただ、ここで問題になるのが、ホームページに掲載しても、見に来てもらえなければ、情報が伝わらない。新しい情報を掲載した際に、メールを送るという手もあるが、住民全員のメールアドレスを把握しているわけでもなく、とてもスピーカー放送のようなことは実現できない。
何かいい手はないものかと、ふと、スマホで検索しようとしたときに気が付いた。やはり全世代スマホ時代なのだから、アプリのPUSH通知で、連絡したいときに住民に伝えることができれば、スピーカー放送と同等になるのではないだろうか。しかも、住民のメールアドレスを取得することなく、あらかじめ簡単な手続きをしてもらえば、次からずっとリアルタイムで情報を発信し、それを伝えることができるように。
そんなことができるようになればいい。
はい。そんなことができるように、アプリを作りました。