前回の続きであるが、自治会や町内会は、人が住む住所という一定範囲の集まりによって構成され、それぞれにその地名や地区名などの固有の名前が付けられていると言ったが、確かに「○○市○○区見本1丁目」という地域であれば、「見本1丁目自治会」という具合に名前がついている。
「見本1丁目自治会」と聞いた場合、人々はどういう印象を得るだろう…
おそらく、その名前のとおり「見本1丁目」という住所に住む住民の集まりだと思うだろう。
だから、そこに住む一戸建ての住民であったり、分譲マンションであったり、賃貸アパートであったり、学生などの単身者向け物件であったり、はたまた、そこに店舗を構える会社や企業であったり、見本1丁目という土地に存在する住所に含まれる物件入居者全員を指している名前なのである。
これが本当の意味での任意団体であるならば、その地域や地区を指す「見本1丁目自治会」という名前にする必要性は無い。また、多くの場合で、その地域や地区に1つだけ存在する自治会や町内会であるが、任意であるならば、同じ地区に複数の『自治組織』が存在していてもおかしくない。しかし、それは少数派である。実際にそのような地域があるならば、ぜひ教えていただきたい。
よって、行政としては『自治会に必ず入らなくてはいけないのか?』というクレーム回避のために「あくまで任意団体」と主張したい気持ちはわかるが、自治会はその名前からしても、とても「任意団体」と呼べるものではないことがわかる。前回も書いたが、自治会に基本的には「入会」や「退会」の概念はなく、その住所に住んだ時点で会に属し、その住所から離れた時点で会から抜ける、自動入退会制度の組織の位置づけとなる。
同じ日本という国の、同じ県の同じ市町村の同じ町に住む住民同士なのだから、何らかの「縁」が必ずあるはずだ。それが日本人であったり、外国人であったり、同じ日本人でも出身地が違ったりしている人たちが、今現在、同じ地域のごく狭い範囲に集まっている。ぜひ、この「縁」を感じていただきたい。無理に仲良くする必要は必ずしも無いが、同じ地域が住みやすい場所であって欲しいと思う気持ちは共通するはずである。
先ほど、自治会にとっての住民の話で、「店舗を構える会社や企業」と書いたが、これに違和感を持った方もおられるのではないか?そこで、なぜ、この「店舗を構える会社や企業」を含めるのかを説明するが、ちょっと想像してほしい。
あなたは、なぜ、この地域に住んでいるのだろうか?あなたは、なぜ、ここに住もうと思ったのだろうか?そこに、「店舗」の存在が見えてこないだろうか?
人が生活をする上で、食料や衣服やその他消耗品などの生活必需品の調達が不可欠である。では、その生活必需品をどこで調達するのか?
我が家では、自分ですべて作ります。という家庭もあるかもしれないが、私も含め、ほとんど多くの人が、それを販売している「店舗」で購入するはずである。生活する上で、そのような生活必需品を調達する必要があるならば、それを調達できる「店舗」は、住んでいる場所の近くにあってほしいと思うだろう。
つまり、「あなたは、なぜ、今住んでいる地域に住もうと思ったのであろうか?」の答えの一つに、身近に存在している「店舗」が理由になっているはずである。それが同じ自治会に属していないかもしれないが、近隣の自治会の住所範囲に存在しているはずであり、自治会として、「店舗」を無視することはできない。
また、「鶏が先か、卵が先か」みたいな話になるが、
「そこに住民がいるから店舗があり、そこに店舗があるから住民がある」
「店舗は住民では無い」という意見もあるだろうが、実際に店舗からも「自治会費」を納めていただいている地域もあるでしょう。
そこに人があり、店舗があり、その地域が良くなれば、住みやすくなり、商売もしやすくなり、相乗効果で人々の気持ちは豊かになる。この「豊かさ」を感じられることが「幸せ」につながる。
「自治会」は、そこに住む住民と、そこにある店舗で構成されていると言えるならば、お互いが協力し合い、この地域をどのような「豊か」なものにしていきたいかの議論も生まれるだろう。ただ、現状では、住民と店舗を紐づけるパイプが乏しいのが現実で、お互いが良い関係を築き、継続的にWin-Winの関係を持てるのであれば、素晴らしいと考える。
その「理想」がより「現実」のものになるような、様々な仕組みを提供することが我々の責務である。