日曜日の夕食どきに見るテレビ番組は、「ちびまる子ちゃん」→「サザエさん」が定番だ。
たまに、ちびまる子ちゃんやサザエさんを視聴するが、あることが気になった。
ちびまる子ちゃんやサザエさんに、「携帯電話」は登場しない。なので、誰かに用事がある場合、家の廊下に設置されている固定式の電話を使い、相手が不在である場合は、電話口の人に伝言を行う。現代では、個人が電話を携帯しており、本人に直接いつでも連絡が取れるが、このアニメの時代ではそれが叶わない。
ちびまる子ちゃんは1990年(令和5年で33年目)、サザエさんにいたっては1969年(令和5年で54年目)に、テレビでの放映が始まったようで、当時の時代設定のまま、長きにわたってアニメが継続されている。古き良き、その時代の生活スタイルを楽しく表現してくれて、私は懐かしく思いつつ、ほとんど違和感なく視聴している。
ちびまる子ちゃんには、近所で活躍する商売人が登場する。
みまつ屋雑貨店(みまつ屋の親父)、佐々木呉服店(佐々木のじいさん)、石松寿司、魚忠、理容室マンデーなどで、サザエさんでも同様に、様々な個人商店の店主(商売人)が物語に花を添える。
現代とは異なり、町にはたくさんの個人商店が存在し、新しい店ができれば主婦同士で話題に上がり、あちらこちらの声の掛け合いで情報が広がっていく。
また、商売人たちも、ご近所さんにより商売が成り立つがゆえ、お店の前を通る人への声掛けや町内イベントを積極的に開き、顔を広くする活動にも精力的だ。町内会の清掃活動などにも積極的に関わりを持ち、顔を知ってもらい、人と話すことによってお店への来店につながる。現代の言葉で言うところのWin-Winだ。
昔は個人で商売している人が多かった。また、その個人が運営する店で買い物をすることが多かった。地域の人が地域で売られているもので日々の生活を送っていた。そんな時代だからこそ、温かい人間関係が地域の中で形成され、町内活動も盛んだった。近所の肉屋や八百屋で食品を買い、近所の酒屋でビールを買い、近所の米屋にお米を配達してもらい、たまにおしゃれをしてデパートに行く。
今の時代はどうであろう?
町内に商店街や個人店舗が多く残っているところは昔と同じ人間関係が見られるであろうが、多くの地域では、大型商業施設が台頭し、近所の肉屋や八百屋は廃業に追い込まれている。加えて、24時間営業の店もあり何かと便利な世の中ではあるが、店員との交流は少ない。
店員はアルバイトやパートの立場で、商売をしているというよりも、雇われ指示された内容で日々作業をこなすのが仕事であり、ものを売るための会話などは積極的に行っていない。購入する側も、店員から商品情報を得ることなく商品名と産地のみの情報を基準に、購入している。最近では、スマートな非接触レジが設置され、自分で商品のバーコードを機械に読ませて、マイバックに移動させる。入店から退店まで、一言も言葉も発さず買い物ができてしまう。同じ地域に住むもの同士の人間関係は、ますます希薄化するのは当然だ。
さらに言えば、インターネットですべての商品が手に入る時代。一歩も外に出ず、ネットで注文した商品を宅配ボックスで受け取るだけの、完全隔離生活も可能な世の中だ。
かつて、個人商店が充実していた時代には、町内活動が活発であった。これは間違いない事実だ。
その地域の中で生活が成り立っていた時代。お互いがお互いの役割を認め、商売人から物を買う。家族や友人へのプレゼントは、商店街にある文具屋やお菓子屋、雑貨屋で。肉や魚は、近所の肉屋や魚屋で旬のものを購入する。友達とお茶するときは近場の喫茶店で。誰かの誕生日には、駅前のケーキ屋で。近所を散歩して、子どもを公園に連れていき、子どもを遊ばせながらご近所さんと会話を楽しむ。
あなたの町に、
みまつ屋のおやじさんのような、町内活動を積極的に運営している人はいますか?
佐々木のじいさんのように、町内の植木の世話をしている人はいますか?
川田さんのように、釣好きで、川を綺麗にする活動に精を出している人はいますか?
町内会の活動には少なからず、なにかしらの動機が必要だ。
その動機が、商売であったり、好きなものの共有であったり、仲間意識であったり、共有財産の維持であったり、より良い町の作り方は、昔と今では異なっているだろうが、どんな動機でどんな目標を掲げれば地域のつながりを保てるか。継続的に考えていき、その答えを導き出したい。