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JichiNaviメディア編集部
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呼称で見る現代の人間関係の在り方
あなたの会社では、上司や部下のことをどのように呼んでいるであろうか?

ひと昔前までは、上司に対して「○○部長」や「〇〇課長」といった肩書を苗字の後ろに付け足して呼んでいる会社が大多数であったことだろう。また、部下に対しては、苗字の呼び捨てや「お前」などといった敬意が感じられない呼び方が多かったように記憶している。

近年は、社員間での呼称を「〇〇さん」で統一する会社も増え、あえて年齢や役職の上下関係を意識しない会社が目立つように感じる。だが、まだまだ肩書主義を重んじる会社も少なくない。

会社として、肩書で呼ばせる意図やメリットがあるのも理解できるが、そのような会社に属する社員は、人事異動で役職が変わる際に、上司や関係者の新しい肩書を頭に叩き込み、以後、呼称を間違えることがないように、自主的反復練習が必要である。なぜなら、もし間違って、古い肩書で呼んでしまった日には、トイレの個室にこもり猛省しなければならないからだ。

先輩と後輩など、年齢が下の者が上の者を敬うために敬語を使うのは良いことだと思うが、上から下へのフレンドリー感を出すためなのか、敬語を使わず呼び捨てをするのは考え物である。人間関係ができている間柄であれば、呼び捨てされるのにも愛を感じるが、人間関係ができていない者同士では、変な軋轢を生む可能性がある。

会社組織では、後輩が先輩よりも出世し、肩書も立場も上位になることがよくある。また、学生の部活でも、後輩が先輩を抜いてレギュラーになることもよくある。その場合、先輩だからと言って、年下の上司や下級生の仲間を呼び捨てにしたりはしないだろう。ただ、その年下の上司に対し、肩書で呼ぶには気が引ける先輩もいることだろう。また、そう呼ばれた後輩も、嫌味に聞こえてしまうかもしれない。そう考えると、呼び方を「〇〇さん」で統一するのは、理にかなっているように感じる。

私の住む自治会という組織においては、「〇〇さん」で呼ぶのが主流だ。

自治会の構成員は、その地域に住む住民であり、住民の中には、様々な年代の人がいて、様々な職業に従事し、その職場での役職もまた様々である。その住民の中で、一定の割合で自治会の運営を担う役員や委員や組長を選出し、日々の活動に取り組む。その人間の集まりには、もちろん上司と部下の関係は無い。職業ではないので誰かが誰かに対して命令する権利もなく、みんながその地域の中では平等な存在であり、誰が偉いということもない。それぞれがそれぞれを敬うことができるという点においては、会社組織よりも柔軟であると言える。

お互いに尊重し合い、常識やマナーを守れる間柄を築ければ、年齢を超えた強い集団ができるのではないか。それは社会にとって、多くの利益を生むのではないか。

組織の中で、先輩が必ずしも後輩より秀でているとは限らない。後輩の方が秀でていて、それが会社や世の中のためになるならば、先輩はそれを大いに受け入れる必要がある。目上の人間も下の人間も、同じ人間であり、社会を構成するメンバーであるのだから、よりよい社会にするという大きな目標においては、みな尊い存在である。もしあなたが、「世の中は若い人でなく、中高年が動かしている」と思っているのならば、それはやはり認識を改める必要がありそうだ。

選挙や政治において、年長者の票の比率が重かったり、年長者の政治家が多かったりするが、若い人も社会の一員であることには違いないのだから、若い人は遠慮なく、中高年や高齢者に言いたいことを言ってもよいのだと思うのである。年齢に関係なく、お互いが心を開き、先入観なしに会話ができるのなら、国や地域、会社や部署にとって、もっと有益なことが共有でき、社会がより良くなるのではないだろうか。

誰しも、自分が所属している組織が自分の世界であり、その範囲の中で生活をしている。その事実は仕方がないことなのかもしれないが、時には自分の世界以外の、自分がまだ所属したことがない別の組織にも属してみてはいかがだろうか。今までに見えなかった価値観を知り、自分の世界がさらに広がることを感じてみて欲しい。例えば自治会は、今の会社を辞めなくても、すぐに属すことができる誰にも開かれた組織である。あなたが住むその町の治安を守り、土地の価値を維持しているといっても過言ではない、尊い組織である。

上下関係のない、命令の主従関係でもない、あなたにとって最も身近な組織が自治会である。
そして、その自治会は、あなたの力を必要としている組織である。ぜひ、いろんな人と出会い、あなたの価値観を広げて欲しい。
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2022/03/15 14:41 更新
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