あなたの自治会や町内会では、次年度の新役員や新委員をいつ決めているだろうか?
12月に決まるというところもあれば、2月や3月の年度末まで、なかなか決まらないというところもあるだろう。おそらく、役員のなり手不足というのは、全国共通の悩みだろうと思われる。
もし、「自分の地域の役員は選挙で決めていて、立候補者が多数だ」というところがあれば、教えて欲しい。ぜひ、取材をさせていただきたい。
昔はどうであったのだろうか・・・
私自身、年齢が30代であり、自治会の役員を初めて引き受けてからまだ10年しかたっていないため、20年前や30年前の役員決めの様子を見たことが無いのだが、少なくとも現在よりは決まりやすかったのではないか。自治会の過去の資料を見る限り、1期2年の役員を、3期、4期と引き受けてくださっていた歴史があった。
役員のなり手不足は、子ども会やその他の委員にも同じことが言える。その原因を考えてみると、やはり生活環境の変化が大きな要因のような気がしている。
20年前は、まだ、男性が外で働き、女性が家事と育児をこなす家庭が多かったように思える。専業主婦であれば、平日の昼間にも比較的時間を取りやすいため、子ども会などの活動も活発に行われていた。また、両親との同居も多かったでしょうから、子どもを両親に預け会議等にも参加できたでしょう。私が小学生や中学生だった時も、町内活動は盛んで、子どもながらに町内の行事を楽しみにし、必ず参加していたものだ。
だが、現在では、専業主婦の家庭が減少し、共働きが当たり前になっている。女性が仕事をしているため、ひと昔前のように、平日の昼間にも時間が取れず、平日が仕事である分、子どもとの関わりを休日に求め、土日にイベントをセッティングすることが多い子ども会の活動にも参加することを億劫に感じるというのは理解できる。また、町内イベントに魅力を感じない、身近な人との関わり合いを持ちたくない、好きなことを優先したいという理由もあるでしょう。
それに加え、職場の定年延長、シルバー人材の雇用などで高齢の方も働いている。担い手が不足するのは仕方のない事だと思う。
自治会や子ども会などの活動の役員は、時間的な余裕がある人が適しているのは事実だ。また、心のゆとりも必要である。
自分の生活で日々、いっぱい、いっぱいである場合、他人のために時間を使うというのは当然、無理な話であろう。だが、地域活動の役員決めは、「平等に」との観点から、どんな状況の人も「候補者」に選ばれる。仕事はお金を稼ぐ作業であるが、地域活動はお金ではなく、治安や安心安全を維持する活動であり、金銭は発生しない。年度末に役員手当は支給される場合があるものの、その労働に値する額ではないだろう。
誰もが、地域活動に金銭ではない喜びを感じ、いい経験をさせてもらったと感じることができるならば、役員決めの「平等」を重んじても良いと思うが、日々の生活の他に活動を行えるほどの余裕がない家庭においては、ただの苦痛に成り下がる。そうなると地域活動の本質が見失われてしまうため、「平等」は大事であるが、時間に余裕がある方にその役割を引き受けていただき、その方が時間的余裕を手に入れるまで、「保留」にしてあげられないものであろうか。
人のために何かを行うというのは、そこに対価が発生せずとも素晴らしい行いであることには変わりない。地域の価値を維持向上させることが目的の地域活動であるのだから、会費を一律平等にアップさせ、それを役員手当の増額に使うということも検討してほしい。
より良い活動にするために、今の仕組みを考えるべき時に来ている。
なぜ、なり手不足であるのかの原因を話し合い、その原因を取り除く対策を行い、時代の変化と共に必要でなくなったものは縮小し、今後も継続できる会にしていきたい。「継続」に関しては、仕事もボランティアも同じである。問題点は必ずあり、また、その解決策も必ずある。負担が多いと思われる活動も、時代と共に変化させ、「楽しい」と思える活動に変えていくことが、成り手不足の解消につながると信じている。
今後も成り手不足の解消については、定期的に良い事例などを取材し、ここに掲載していこうと思う。